ギターを弾くにあたって、モードスケールに興味を持ったものの、概念や使い方の難しさで挫折した人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、モードスケールの概念や特徴を始め、使い方や練習法、応用法などもシンプルにまとめてみましたので、日々の練習の参考にしてみてください。
モードスケールとは?
モードスケールは、音階の一種であり、特定の基音(トニック)から始まる音の並びです。
一般的に、西洋音楽で使用されるモードスケールには7つの種類があります。
それぞれが独自の音階パターンを持ち、異なる雰囲気や情感を生み出します。
まずは、それぞれのモードスケールとその特徴を簡単に説明します。
- イオニアン (Ionian) モード:一般的にメジャースケールとして知られ、明るく、安定した響きを持ちます。
- ドリアン (Dorian) モード:メジャースケールの2番目の音から始まり、少し哀愁を帯びた、しかし明るさも感じさせる音階です。
- フリジアン (Phrygian) モード:メジャースケールの3番目の音から始まり、エキゾチックでミステリアスな響きを持ちます。
- リディアン (Lydian) モード:メジャースケールの4番目の音から始まり、浮遊感のある、夢見心地の音階です。
- ミクソリディアン (Mixolydian) モード:メジャースケールの5番目の音から始まり、ブルージーでジャジーな響きを持ちます。
- エオリアン (Aeolian) モード:一般的にナチュラルマイナースケールとして知られ、悲しげで憂鬱な響きを持ちます。
- ロクリアン (Locrian) モード:メジャースケールの7番目の音から始まり、緊張感と不安定さを持つ音階です。
モードスケールの特徴や使い方
モードスケールの使い方は、その音階を理解し、どのような状況でどのモードを使うかを学ぶことから始まります。
以下に、各モードスケールの基本的な使用方法を説明します。
イオニアンモード(アイオニアンモード)
イオニアンモードは、通常のメジャースケールと同じです。
ポップスやクラシック音楽など、明るく前向きな楽曲に最適です。
このモードを使用することで、楽曲に安定感と明るさをもたらします。
ドリアンモード
ドリアンモードは、マイナースケールと似ていますが、6番目の音が半音高いのが特徴です。
このモードは、少し哀愁を帯びつつも希望を感じさせる響きを持ち、ジャズやロックでよく使用されます。
特に、ソロパートでの表現力を高めるために効果的で、マイナースケールのマンネリから脱却するためのスケールとしても有名です。
フリジアンモード
フリジアンモードは、スペイン音楽やフラメンコなど、エキゾチックな響きを持つ楽曲に適しています。
2番目や3番目の音が半音低く、独特な雰囲気を生み出します。
このモードを使うことで、楽曲にミステリアスで異国情緒溢れる要素を追加できます。
リディアンモード
リディアンモードは、浮遊感と幻想的な響きを持つモードです。
特に、映画音楽やアンビエントミュージックで使用されることが多く、独特な音空間を作り出します。
4番目の音が半音高いため、他のモードにはない浮遊感を演出できます。
ミクソリディアンモード
ミクソリディアンモードは、ブルースやジャズ、ロックなどで広く使われます。
特に、ブルージーなフレーズを作りたいときに効果的です。
7番目の音が半音低いことで、特有の雰囲気とリズミカルな響きを生み出します。
エオリアンモード
エオリアンモードは、一般的にナチュラルマイナースケールとして知られ、悲しみや憂鬱な感情を表現するのに適しています。
多くのバラードや感傷的な楽曲で使用され、心に響くメロディを作り出すために最適です。
ロクリアンモード
ロクリアンモードは、最も不安定で緊張感のあるモードです。
7番目の音が半音低く、特異な緊張感を持つため、現代音楽や実験的な音楽で使用されることが多いです。
特に、リスナーに強い印象を与えたい場合に効果的です。
モードスケールを実際の音楽制作に応用する方法
モードスケールを理解したら、次は実際の音楽制作にどのように応用するかを考えましょう。
ここでは、具体的な応用方法をシンプルに紹介していきます。
曲の雰囲気を変える
モードスケールを使い分けることで、同じメロディでも異なる雰囲気を作り出すことができます。
例えば、同じメロディをイオニアンモードで演奏すると明るく前向きな雰囲気になりますが、エオリアンモードで演奏すると悲しげで感傷的な雰囲気になります。
ソロパートでの表現力を高める
ジャズやロックの即興演奏では、モードスケールを使うことでソロパートの表現力を高めることができます。
例えば、ドリアンモードを使うことで、マイナーな雰囲気を持ちながらも希望を感じさせるフレーズを作ることができます。
特定の感情を強調する
楽曲の中で特定の感情を強調したい場合、適切なモードスケールを選ぶことが重要です。
例えば、リディアンモードを使うことで、幻想的で夢見心地の雰囲気を強調することができます。
モードミックステクニック
複数のモードを組み合わせて使用することで、より複雑で興味深い音楽を作り出すことができます。
例えば、Aセクションではイオニアンモードを使用し、Bセクションではフリジアンモードに切り替えることで、楽曲にダイナミクスと変化をもたらすことができます。
映画音楽やゲーム音楽での利用
モードスケールは、映画音楽やゲーム音楽での感情表現にも非常に有効です。
シーンごとに異なるモードを使用することで、視聴者やプレイヤーの感情を効果的に誘導することができます。
モードスケールの練習方法
モードスケールを効果的に使うためには、実際に楽器を使って練習することが重要です。
ここでは、モードスケールの練習方法をいくつか紹介します。
トニックを固定した状態でのスケール練習
まずは、各モードのスケールを楽器で演奏し、指の運びや音の並びを覚えましょう。
モードスケールを覚えるにあたって、「Cメジャースケール内の何番目の音から始めるスケール」という考え方が最もキャッチーですが、実際に練習する場合はトニックを固定した方が響きの違いを理解しやすいです。
例えば、トニックをCで固定する場合は下記のようになりますので、指板上の音を辿るところからスタートしましょう。
スケール名 | 構成音 |
Cイオニアンスケール | C.D.E.F.G.E.A.B |
Cドリアンスケール | C.D.E♭.F.G.E.A.B♭ |
Cフリジアンスケール | C.D♭.E♭.F.G.E.A♭.B♭ |
Cリディアンスケール | C.D.E.F#.G.E.A.B |
Cミクソリディアンスケール | C.D.E.F.G.E.A.B♭ |
Cエオリアンスケール | C.D.E♭.F.G.E.A♭.B♭ |
Cロクリアンスケール | C.D♭.E♭.F.G♭.E.A♭.B♭ |
モードごとの即興演奏
スケールの構成音を理解したら、即興でフレーズを組み立てて、実践的な使い方を身につけましょう。
バックトラックなどを使って、様々なモードで即興演奏を行い、それぞれのモードの雰囲気や特性を体感することが大切です。
モードスケールを使った作曲
実際にモードスケールを使って楽曲を作成することで、理論の理解を深めることができます。
特定のモードを意識してメロディやコード進行を作成し、それを楽曲に組み込む練習を行いましょう。
まとめ
エレキギターの難関と名高いモードスケールの基礎的な知識や使い方、練習法などを解説してきました。
モードスケールに関しては、感覚的に使いこなしている人も多いですが、きちんと理解して意図的に使えるようになると、音楽制作における表現力やバリエーションが一気に広がります。
また、モードスケールを理解する上で、「この曲のメロディはミクソリディアンスケールだったのか!」のような気付きが得られることも多く、音楽家としてのレベルが上がったこと実感できる機会も多いでしょう。
メジャースケールやマイナースケールにマンネリを感じているなら、モードの世界に足を踏み入れてみてください。