ギタリストなら雑誌や教則本、インターネット等で「ペンタトニックスケール」を見たり調べたりしたことがあるのではないでしょうか。
初心者レベルでもアドリブが簡単に出来てしまう魔法のようなスケールですね。
しかもメジャースケールやマイナースケールよりも少ない音数の音階なので覚えるのも簡単です。
今回はメジャーペンタトニックスケール、マイナーペンタトニックスケールの覚え方について解説していきます。
感覚的に覚えている人も一度知識として頭に落とし込むことをオススメします。
「ペンタトニックスケール」の定義や覚え方
まずは、ペンタトニックスケールの定義や音階の覚え方について解説していきます。
言葉の意味や音階を理屈で覚えることによって、実際のプレイ時にも活用しやすくなりますので、しっかりと覚えておきましょう。
ペンタトニックスケールの定義
ギタリストは当たり前のように「ペンタ」とか「ペンタトニック」と言いますが、冷静に考えてみると何だか変な響きの言葉ですよね。
まず言葉の意味を解説すると、ペンタは「5」、トニックは「主音」です。
ペンタゴンというワードを聞いたことがある人は多いですよね。
アメリカの建物やキン肉マンのキャラにもいましたね。
ペンタゴンは五角形、もしくは5つの頂点と辺を持つ図形を指します。
とりあえずペンタは「5」と覚えて下さい。
ペンタトニックスケールを文字通りに和訳すると「5・主音・音階」となります。
ここで勘違いしてはいけないのは、5つの主音がある音階という意味ではありません。
主音が5つもあったら大変です。
「主音(トニック)を根音として、1オクターブ内に5つ(ペンタ)の音がある音階(スケール)」
これがペンタトニックスケールの定義となります。
日本語で表記すると「五音音階」となります。
ペンタトニックスケールの種類多すぎ問題
ギタリストが「ペンタトニックスケール」というと、
・メジャーペンタトニックスケール
・マイナーペンタトニックスケール
ほとんどの場合はこの2つを指しますが、世の中にはペンタトニックスケールは山のように存在します。
要は「1オクターブ内に5つの音が存在する」スケールですので、広義で解釈すれば1オクターブ内で5個の音をピックアップすれば、それはペンタトニックスケールという事になります。
たとえばCのペンタトニックスケールを考える場合、Cから1オクターブ上のCまでの12音から5音をピックアップする感じです。
そのため、世界各国で様々なペンタトニックスケールが使われています。
東アジア(日本、朝鮮半島、中国(漢民族)、モンゴル、チベット、ブータンなど)、東南アジア(ベトナム、タイ、ミャンマー、カンボジア、インドネシア(ジャワ島、バリ島))、アフリカ(スーダン、エチオピア、ウガンダなど)、南アメリカ(アンデス)の音楽では、1オクターブの音域内で5つの音を持つ音階に基づくものがある[1]。
便宜的には、次の3種類に分けられる[2]。
・全音階的五音音階(無半音的五音音階):最も一般的な5音音階であり、3つの全音程と2つの短3度によってできる。世界の五音音階の大部分がこれに含まれる。
・半音的五音音階:5音音階の中で半音を含むもので、半音程の位置は様々であるが、長3度音程と隣り合う位置に置かれることが多い。主に、日本、朝鮮、インド、インドネシア等にある。
・この他に、インドネシア(ジャワ島・バリ島)やウガンダ(ブガンダ王国の伝統音楽)などには1オクターブを5等分した五音音階、タイには1オクターブを7等分してその内の5音を用いる五音音階などがある。
引用元:Wikipedia
有名なところだと沖縄民謡で使われる琉球音階もペンタトニックスケールですね。
メジャー・マイナーペンタトニックスケールとは
ギターを弾く上で「ペンタ」というと
・メジャーペンタトニックスケール
・マイナーペンタトニックスケール
この2つを指します。
それぞれメジャーペンタ、マイナーペンタとも呼ばれます。
シンプルに定義づけしますと
メジャーペンタ→メジャースケールを基準に音を省いて5音にしたもの
マイナーペンタ→マイナースケールを基準に音を省いて5音にしたもの
という感じですね。
そして、それぞれ省く音は決まっています。
メジャーペンタ→主音から数えて4度・7度の音
マイナーペンタ→主音から数えて2度・6度の音
という感じですね。
どのキーでも同じ度数の音を省いて作られます。
1度 | 2度 | 3度 | 4度 | 5度 | 6度 | 7度 | 1度 | |
Cメジャースケール | C | D | E | (F) | G | A | (B) | C |
Aマイナースケール | A | (B) | C | D | E | (F) | G | A |
上の表がメジャー・マイナーペンタで省く音を分かりやすくしたものですね。
CメジャースケールとAマイナースケールは構成音が同じなのですが、見て分かるようにペンタトニックにする際の省く音も同じなんです。
つまり、CメジャースケールとAマイナースケールなどの平行調の関係はペンタトニックスケールにも応用できるというわけです。
あくまで「構成音が同じ」というだけで音の使い方や考え方は異なります。
メジャーは「ヨナ抜き」マイナーは「風呂なし」で覚えましょう
メジャー・マイナースケールから省く音について解説しましたが、数字だと覚えづらい人もいるかと思いますので、語呂合わせで覚えてしまいましょう。
メジャーペンタトニックスケールは「ヨナ(4・7)抜き」
マイナーペンタトニックスケールは「風呂(2・6)なし」
という感じで覚えるのがオススメです。
マイナーペンタトニックスケールが「風呂なし」というのはスケールの響きどおり哀愁が漂っていて良いですね。
上の図は6弦ルートのCメジャースケールで、赤丸の部分が4度・7度(ヨナ)のポジションですね。
これを省略すると下の図のようになります。
これがCメジャーペンタトニックスケールですね。
同じようにマイナースケールも見てみましょう。
上の図は6弦ルートのAマイナースケールで、赤丸が2度・6度(ふろ)のポジションですね。
これを省きますと下の図のようになります。
これがAマイナーペンタトニックスケールですね。
・いろんな主音のメジャースケールでヨナ抜き
・いろんな主音のマイナースケールで風呂なし
これをやってみるとスケールへの理解が深くなりますし、他のスケールを勉強する際に頭の中での変換がスムーズになりますので、ぜひ試してみて下さい。
メジャー・マイナーペンタトニックスケールをフォームで覚える
ここまではペンタトニックスケールの定義や考え方について解説してきましたが、
とりあえずペンタトニックスケールを弾きたいっす!
今すぐアドリブやりたいっす!
という人のために、ペンタトニックスケールのフォームを伝授しておきましょう。
ちなみにスケールの使い方は、キーがCメジャーならCメジャーペンタトニックスケールが使用可能、キーがAマイナーならAマイナーペンタトニックスケールが使用可能という感じです。
曲のキーを見てルートの音(主音)を決めましょう。
ギターの特性上、フォームを丸ごとずらすだけで他のキーのフォームになりますので、まずは形で覚えてしまいましょう。
メジャーペンタトニックスケールのフォーム
上の図がCメジャーペンタトニックスケールの音とフォームを表したものですね。
とりあえずオレンジで囲ってある2つのフォームを頭に入れておけばひとまず大丈夫かと思います。
2つのフォームを覚えて余裕が出てきたら、緑で囲ってあるフォームも併せて覚えましょう。
ペンタトニックスケールは1弦につき2音ずつの縦の動きで覚えるのがベターです。
マイナーペンタトニックスケールのフォーム
上の図はAマイナーペンタトニックスケールの音とフォームを表したものですね。
平行調の関係にあるのでポジションは同じですが、ルートが異なるためフォームの覚え方も異なります。
主音を意識して弾く事で、同じ構成音でも違う雰囲気を表現できます。
まずはオレンジで囲ってあるポジションを覚えましょう。
そして、メジャーペンタトニックスケールと同様に、慣れてきたら他のポジションにも目をやり、1弦につき2音ずつの縦の動きで覚えていきましょう。
まとめ
というわけでメジャー・マイナーペンタトニックについて、考え方や覚え方、フォームなどについて解説してきました。
とりあえずルート(主音)とフォームから覚えて、定義や考え方を頭に入れていくのがスムーズかなと思います。
ペンタトニックスケールを覚えておけば
・ギターソロやオブリガードを簡単に作れる
・急にアドリブをお願いされてもそつなくクリアできる
という特典がありますので、早めにルートの位置とフォームを頭に叩き込みましょう。
メジャーはヨナ抜き、マイナーは風呂なし。
ぜひお役立てください。
メジャースケールやマイナースケールについても書いていますので、併せてチェックしてみて下さい。