今回はピッキングの基礎知識として「ピッキングをする右手の位置で音が変わる」という事について解説していきます。
上手く弾き分ける事で表現のバリエーションが広がりますので、しっかり理解しておきましょう。
ピッキング(右手)の位置の基礎知識
文字が見づらくて申し訳ないですが、上の図がピッキング位置による音の違いを表しています。
まず基本的な知識ですが、ギターはブリッジ寄りでピッキングするほどシャキっと鋭角的な音になり、ブリッジ寄りでピッキングするほどまろやかで丸みのある音になります。
実際にギターを手に取って、ピッキング位置を徐々にずらしていくと音の違いは分かりやすいでしょう。
初心者のうちは、「ギターはリア・フロント(センター)のピックアップをスイッチで切り替えて音を使い分けるもの」というシンプルな認識を持っているかと思いますが、
リアピックアップで出せる音の中でもまろやかな音
フロントピックアップで出せる音の中でもシャープな音
という感じで、同じピックアップでもキャラクターの異なる音を出せるのがピッキングの位置なんですね。
もちろん、フロントピックアップで更にまろやかな音を出したり、リアピックアップでよりシャープな音を出す事も可能です。
普段弾いているフレーズもピッキングの位置を変えるだけでニュアンスが変わりますので、色々試してみる事をオススメします。
ちなみに私はフロントピックアップ&ネック寄りで2.3弦のハーモナイズドチョーキングをする音が大好物です。
音の違いの秘密は「弦の振幅」
「なんでピッキングをする位置だけで音が変わるんだろう…」と疑問に思う方もいますよね。
その秘密は「弦の振幅」にあります。
ギターはピッキングをする位置によって弦の振動の大きさ(振れ幅)が変わります。
同じ力で弾いてもブリッジ寄りで弾くと振幅は小さくなり、ネック寄りで弾くと振幅は大きくなります。
これが音に大きな影響を与えているわけですね。
これは大げさに表現した図ですが、6弦あたりで試してみると、ブリッジ寄りとネック寄りの弦の振幅の差は目で見て分かるレベルになります。
こちらも実際に試して、その目で確かめてみてほしいですね。
弾くフレーズ別おすすめポジション
ストローク(コード弾き等)
通常のコードストロークに関しては、ブリッジ寄りで弾いてしまうと音が硬くて雰囲気が出ませんので、センター~フロント寄りで弾くのがオススメです。
あまりフロントに寄りすぎても音がぼやけてしまうので、センターから徐々に調整して気持ち良く鳴るポジションを見つけましょう。
パワーコード&ロック系リフ
ロックやメタルでよく使われるパワーコードや、1~3本の弦を鳴らすロック系のリフは、フロント寄りで弾いてしまうとまろやかになってしまい、雰囲気が出ません。
そのため、センター~ブリッジ寄りでシャキっと弾くのがオススメですね。
レスポール等のハムバッカー2つタイプのギターだとリアピックアップの上あたり、ストラトなどのセンターピックアップがあるギターの場合はリアピックアップとセンターピックアップの間あたりが目安ですね。
ブリッジミュート系リフ
こちらもロックやメタルで多様する弾き方ですが、「ブリッジ」ミュートですから必然的にブリッジ寄りで行うのがベターと言えます。
フロント寄りでミュートをしてしまうと、音が出なかったりハーモニクス音が鳴ってしまったり、意図するサウンドになりません。
リアピックアップとブリッジの間あたりに手の側面を置いてミュートし、センターあたりでピッキングするのが一般的ですね。
カッティング
カッティングについては、
歯切れの良いシャープばカッティングの場合はセンター~ややブリッジ寄り
レゲエなどのルーズな雰囲気のカッティングの場合はセンター~フロント寄り
で弾くのがベターと言えます。
ブラッシング時にピッキングの位置を行ったり来たりしてあげると、ちょっとしたワウ効果が得られるのでオススメです。
速弾き系ギターソロ
速弾き系のギターソロに関しては、ネック寄りで弾いてしまうと弦の振幅が大きく、ピックで弦を捉えづらい現象が起こります。(「弦が逃げる」と表現される事が多いです)
センター~ブリッジ寄りで弾く事で弦を捉えやすくなりますので、速弾きが苦手という人はピッキングの位置をブリッジ寄りにしてみると上手くいくかもしれません。
泣きのギターソロ
速弾きではなくスローなギターソロを弾く時は、ブリッジ寄りで弾くよりもネック寄りで弾いた方がまろやかで味わい深い音になります。
いわゆる泣きのギターソロを弾く時は、フロントピックアップに切り替えてネック寄りで弾く事を意識してみるとフレーズが持つ雰囲気がさらにアップします。
好きなポジションで弾く事も「個性」
ピッキング時の右手のポジションによる音の違いについて解説してきましたが、今回書いたことはあくまで「音に関する一般的な知識」であり「一般的に良い音とされる音が鳴りやすいポジション」「一般的に弾きやすいとされるポジション」です。
実際はブリッジ寄りでコードストロークをしても何の問題もありませんし、ネック寄りで速弾きをしてもOKです。
大切なのは
自分が「良い音!」と思えるポジションを見つける事
弾きやすいと思えるポジションを見つける事
ですので、それを見つけるための手掛かりとして活用していただけたら幸いですね。
ギターのピックアップやエフェクター、アンプだけがギターサウンドを左右するわけではありません。
右手のポジションや弾き方、左手の押さえ方などでもサウンドは変わりますので、いろいろ試してみて下さいね。